「状態」が気になる日本人、「行為」が大事な欧米人
簡単に言うと、その民族の考え方を受け入れない限りは、その言語を習得したことにはならないですよね。
「いや、そんなことはない。
言葉は単にコミュニケーションのツールだから、全て自分の母語をベースに直訳するだけで相手に通じるはずだ。
相手の文化や考え方を受け入れる必要は一切無い!」
って方は、まさかいらっしゃらないですよね?
例えて言うとこんな感じです。
欧米人って、「空腹を持って」いたり、「頭痛を持って」いたり、はたまた「自分が自分自身を自分の名前で呼んじゃった」りしますよね。
日本人からしたら、「お腹が空いている」状態であり、「頭痛がする」状態であり、「自分の名前が~である」状態が普通なのに、それを直訳されても意味不明????ですよね。(ーー;)
日本語を話せる欧米人が、いくら、日本語で
「私は今、空腹を持っています」
とか
「私は今、頭痛を持っています」
「私は、私のことを、●●(自分の名前)と呼びます」
って言ってもその意味を一瞬で理解できる日本人ってあまりいないのではないでしょうか。
私は常日頃から、日本の文化や日本人の考え方と、自分が学んだり教えたりしている外国語を話す民族の文化や考え方の違いを考えている訳ですが、今英語とスペイン語を教えているサークル(ばもちゃる)でも、参加者の皆さんには常々、考え方の違いをお話しています。
単に日本人の考えを「英語に直訳する」ことや「スペイン語に直訳する」ことがいかに危険か、いかに相手には通じないかは、やっぱり文化や考え方を説明しないと意味が無いですからね。
で、良い本無いかな~って探していたら、見つけちゃったんですよ~!!
前回の「ばもちゃる」のレッスンでも皆さんに紹介したんですけど、この↓本です。
『日本語文法の謎を解く―「ある」日本語と「する」英語』
金谷 武洋 著
ちくま新書
いえね、少し前の英語レッスンで
「I see four people.」
って例文を使って、人数を伝える言い方を学んだんです。
日本人だったら、普通
「4人います。」
もしくは
「4人です。」
って言いますから、日本人的な思想だと
「There are four people.」
って言いたくなりますよね?
でも、アメリカ人は、どちらかと言うと「I see」を使いたがって「There are」はあんまり使いたがらないですよね。
もっと解かり易い例を挙げてみますね。
電車に乗ってて、静岡方面に向かう途中、窓の外を見ると大きな山が…。
そうです。
日本一の山、富士山です。
はい、では、隣の人にその事を伝える時、皆さんは何て言いますか?
普通、
「富士山が見える。」
もしくは、
「富士山だ。」
と言いませんか?
でも、欧米人は母国語では
「私は富士山を見る。」
って言いますよね、普通。
母国語で
「富士山が見える」
って言う欧米人って、あんまりいないのではないかな…。
私もラテン系言語とゲルマン言語しかかじった事がないので、スラブ系言語や、ハンガリー語、フィンランド語など、全然違う系統の言語だともしかしたら言うのかもしれないですが…。
上記の例で、皆さんにも簡単にご理解いただけるように、日本語は「~が~である」という「状態」を言うのが普通の言語であり、欧米語は「~をする」、と「人間の行為」そのものを強調する言語だって言う事が良くわかりますよね。
ま、欧米人と日本人の考え方の違いは、一言でまとめちゃうとこの一文で終わっちゃうのですが、この本には詳しい文法解説やら考え方がしっかり書かれていて、非常に解かり易いんですよ~。
どう説明したら皆さんにすんなり解かってもらえるかな~っていつも考えていたんですけど、この本を読んで、
「これだ!」
って、霧が晴れた気がしました。(^^♪
著者は、カナダのフランス語地域に在住し、英語と仏語の通訳をされている方で、しかも、スペ語や韓国朝鮮語もご存知の方なので、非常にバランス良く書かれた本だと思います。
日本って、反日、嫌日的な考え方をする人が多くて、
「欧米的な考えが普通で日本的な考えはおかしい」
系の考えをする人が結構いますよね。
文化や考え方に優劣がある訳はなく、そんなのおかしいんですけどね~。
しかも、自虐的な考え方…、有り得ませんよね~。(-_-)
韓国朝鮮語も日本語と同じく「存在」を中心に現す点では非常に考え方も文法構造も似ているんです。
で、それを「韓国語はおかしい言語だ」と言う韓国人はいないと思います。(-_-)
アジア的な考え方と欧米的な考え方に違いがあるだけで、どちらの言語がより優れているということはないと思うんです。
もし、興味がある方がいたら、是非この本を読んでみて下さいね。
最近は日本語ブームなので、もしかしたら既に読んだ事がある方も結構いらっしゃるかと思いますが…。
欧米言語の上達がある一定の所で停まってしまっているって方は、きっと、欧米人の考え方の根本が日本人と異なるため、その考え方に合わせるのが苦手なだけだと思います。
欧米人は「人間の行為を中心に考える」民族だってことが解かれば、今まで理解できなかった「変な」言い回しもすぐに理解できるようになるかな…って思います。
それにしても、語学って奥が深いですよね~。
一つの言語を「マスターした」ということは、その言語を話す「民族の考えが深く理解できた」ってことなんですよね~。(^^)
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